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黒須 友紀

飽くなき好奇心を
思いきり咲かせて

2014年入社
物質工学コース卒

黒須 友紀

YUKI KUROSU

消費財技術開発部

黒須友紀

化学者になる夢をカタチに

「白衣を着た化学者になるのが、実は小さい頃からの夢だったんです」。化学に結びついた実験が通常授業でもできるから、という理由で高専へ進学した黒須。5年目を迎え、もっと実験を深めたいと、専攻科へ進んだ。そこで高分子合成の研究室に所属。在籍中に、旭化成の社員とポリエチレングリコールの合成をテーマに共同研究したことで、就職先として旭化成を現実的に検討するようになる。加えて、先に入社した同高専出身の女性の先輩の活き活きとした姿が、数年先の自分の未来と重なった。
入社後、ホームプロダクツ技術開発部に配属。「サラン」という名のポリ塩化ビニリデン樹脂を使った、フィルムの技術開発を担当している。白衣ではなく作業着を身にまとい、在学中の研究では触れることのなかった押出機を前に、ポリマー加工や、開発に励む日々。「正直ギャップはありましたけど、化学の分野に携わっている点は確かなので楽しいですよ」。現在は、ハムやソーセージに主に使用される業務用の食品包装「サランフィルム」の改良や技術開発を行なっている。
「学生時代、樹脂加工について頭ではわかっていたつもりでしたが、素材も分子量も違うものを作っていたので、実際に見たら最初は結びつかなくて苦労しました」
ポリマー加工自体は、溶かして流すというシンプルなもの。ただしその中にもいろいろな技術があり、機械も方法も様々。最初は戸惑いながらも、化学的な知識を深めることはもちろん、視野を広げてひらめきを得ることを意識していた黒須。ある程度の基礎的な知識を得た段階で、後にスポットライトがあたることとなる課題に取り組みはじめる。

黒須友紀

成果が認められた日

入社2年目となる黒須に課せられたテーマは、樹脂の新グレード開発。元々サランには、耐熱性が低く分解しやすいという特性があったため、それをできるだけ抑え、ポリ塩化ビニリデンの組成を検討する必要が生じた。つまり、バリア性が高く、かつ熱安定性のいいポリマーが求められたのだ。
「知識はありましたが、本当にこれでいいのかな…という不安があって。サランが完成するまでにどんなことがあって、なぜこういう形状になっているのかという背景を知らなかったので、上司や周りに聞きながら取り組んでいきました」。黒須が在籍する鈴鹿製造所では、樹脂を溶かしてフィルムにするという工程のみを担う。肝心のポリマー自体は延岡の工場で作られているため、延岡の技術担当者に協力を仰ぎ、希望のポリマーの試作を何度もお願いした。黒須も自ら延岡へ足を運び、試作・評価を繰り返した。
取り掛かること1年。業務用のフィルムとして不可欠な、長期保存に対応できるハイバリア性、かつ耐熱温度が高く熱安定性に優れた樹脂が、遂に完成した。
しかし、完成させるだけで終わりではない。特別な新技術が実際に上市されるには、特許出願が必要となる。黒須は申請にあたり、他の追随を許さない資料を作成するテクニックを身につけることとなった。「出願作業は化学とはかけ離れていることもあり、ルールも知らなかった。一から勉強して、特許事務所に手続きをお願いするというやり繰りも初めての経験でした」。
そんな黒須にとって支えとなったのは、周りの先輩や上司の存在。「『こういう資料もあるよ』とか、『過去にこう書いたことがあるよ』などと声をかけてもらって助けてもらい、仕上げられました」。
健気に作業を続け、開発から約2年後。黒須の努力は『技術開発総部長賞』として光を浴びた。「ちゃんと見てもらえたということが素直に嬉しかったし励みになりました。いいものを作ろうという熱意が認められたのかなと思います」。
本社で行われた授賞式では、黒須は期待の若手のひとり、化学技術者として唯一の女性受賞者として名前が呼ばれた。

黒須友紀

探求をやめずに吸収する

「周りからはよく『変わってるね』といわれるんです」と、自分のことを評する。自分が見聞きするものに対して、例えば同部署の他のグループや、全国の他拠点の技術開発部が発信する知識や技術に、興味が尽きない。全国の技術開発部が集う発表会や懇親会にも顔を出して、情報交換を楽しむ。「好奇心旺盛です。そうじゃないと、引き出しも増えていかないですし」。
黒須の好奇心を刺激するような、海外出張の機会にも恵まれた。ドイツで開催されたプラスティックの綜合・加工に関する展示会への視察だ。「スケールがとにかく大きくて、その場で押出機による実演などもあるエンターテインメント性の高い展示会でした」。その後も、設備の視察のためやサラン関連の海外出張も、任されるようになってきた。
「仕事を頼られる頻度は増えてきたけど、まだまだ道半ば」という黒須。女性の化学技術者として今後をどう見据えているのだろう。「仮に私が寿を成すとしても、辞めずに働き続けたい。旭化成は、結婚・出産を経て仕事を続けている女性が多くいます。女性にとって、働きやすい環境です」。
将来のためにも、化学的な知識だけでなく他の分野にも精通していきたいと、展望が広がる。そのために、機械を専門とする同期から知識を得たり、他の部署の人から技術を教えてもらうこともある。それには、「人とのコミュニケーションが大事」だと言う。自分一人で完結する仕事はない。周りとの良好な関係を保ち、オープンなマインドで新しいことをどんどん吸収していく。それを、自分の糧とする。
化学者を夢見たかつての少女は、知識や技術というカタチで好奇心を満たしながら、夢を実現している。

社外交流から輪を広げる

海外出張の機会も増えたこともあり、「自己研鑽支援制度」によりスクール費用の75%(入社5年まで)の補助を受け、現在は週2回英会話スクールに通っている。
また同期や上司たちとの飲み会やカラオケ、オフの日はゴルフやスノーボード、今年の夏は後輩たちと車を数台出して熱海までキャンプへ出かけたりと、社外での交流には積極的に参加。そこでの交流が、職場での円滑なコミュニケーションに活きている。

黒須友紀