未来をつくる人 高度専門職に任命されたプロ中のプロたち

医薬研究センター
先端創薬研究部
部長 / プリンシパルエキスパート
大川 和史

Kazufumi Okawa

専門性を極め、その成果を積極的に発表することで、
社内外を問わず認知度が上がり頼られる存在になります。

大川さんの
ココがすごい!

分子生物学会やCBI(CHEM-BIO INFORMATICS SOCIETY)学会では名の通った研究者。CBIでは取りまとめ役も担う。学会からも招待講演で招かれるなど、認知度は高く、バイオロジーとケミカル両方のインフォマティクス領域において活躍しており、特にケミカル(ケモインフォマティクス)領域では最先端レベルの一人と認知されている。国内外で開催されるPythonカンファレンスにおける発表も多く、AI/機械学習に関する知見やそのプログラミングスキルの面でも国際的に評価される存在となっている。AI人材の育成で有名な会社の社長から、講師を打診されたこともある。

コンピュータを使った先端情報技術で、
旭化成ファーマの創薬最前線を支援。

私はコンピュータを使って理論化学の問題で解を導く計算科学や、創薬の際に標的となるタンパク質などの分子の立体構造を解析して化合物の設計を支援するSBDD(構造ベースドラッグデザイン)、医薬品の分子デザインでAIや機械学習を大幅活用するAI創薬などのエキスパートとして、旭化成ファーマ内の様々な薬剤の開発初期段階をサポートしています。最近までは、環状ペプチド創薬プロジェクトに参加。前臨床に上がる寸前まで漕ぎつけることができ、私の関与により事前の想定よりも早くロジカルなデザインができたという評価を得ています。
近年はAI創薬が脚光を浴びていますが、私としては大学で量子化学の研究室に所属していた時からコンピュータの活用を行なっていましたから、時代が追いついてきたような感覚です。こうした情報技術を化学や生物の研究開発領域に活かしていくケモインフォマティクスとバイオインフォマティクスの進化は早く、今後ますます高い貢献ができると考えています。

Prifle

私のプロフィール
2016年
旭化成ファーマ入社 ケモインフォマティクスのエキスパートとして、プロジェクトを横断して創薬への貢献を開始する
 
2019年
リードエキスパートに就任 ファーマ社内でAIやディープラーニングに関する発表が求められるようになる。
2022年
プリンシパルエキスパートに就任 旭化成グループ全体で計算科学を軸に様々な研究領域での発表機会が増える。他のグループ会社のプリンシパルエキスパートとの交流も活発化する。

プリンシパルエキスパート就任後、
旭化成グループ全体に影響する存在に。

2019年にリードエキスパートに任命されましたが、この時はAI創薬が急速に注目され出した頃で、ファーマ社内で“AIとは”、“ディープラーニングとは”、といった内容の発表が増えました。社内での私の認知度が急速に高まったように思います。このように社内全般で果たした役割が通常業務に加えて評価され、2022年には1段階上がってプリンシパルエキスパートに任命されました。リードエキスパートとの違いは、今度は旭化成グループ全体から注目され声のかかる存在になったことです。旭化成本体のDXチームであるデジタル共創本部とのディスカッションが増えた他、化学製品の事業分野と接点を持つことになりマテリアルインフォマティクスの領域でも貢献が期待されるようになりました。 このようにグループ内認知度が高まり、交流できる技術領域が広がった私ですが、そもそも以前は学会等での活動を通して、社外での認知度の方が高い状況でした。例えば部下を学会に連れていくと、外国人の研究者から「大川さんのもとで研究できるなんてあなたは幸せだ!」などと言っていただき、部下に私の人脈の広さと評価の高さを驚かれたことが多々あります。また、私のX(Twitter)のフォロワーは1000名を超え、世界各国の研究者に広がっています。プリンシパルエキスパートに任命されたことにより、社外でのステイタスがようやくグループ内でも確立され、自らの能力を社内においても100%引き出せるようになったと言えるかもしれません。

高度専門職制度は単なる肩書きではなく、
最先端レベルを超えようとする意欲を後押ししてくれる。

現在の私はファーマ内のプロジェクトを横断して行なっている創薬支援業務の他に、対外発表のための論文執筆や学会への参加、さらに部長職としてのマネジメント業務をこなすなど、多忙な日々を送っています。それでも時間を見つけては最新の論文を読んだり、アイデアをプログラミングコードとしてまとめたりと、自分の専門性を高めることに勤しんでいます。また、それが研究者の基本的姿勢だと思います。その専門性を高める姿勢とそこから生まれた成果を評価し、さらなる活躍の機会を提供してくれるのが高度専門職制度です。
高度専門職のエキスパートとして重要なことは、何よりも専門性を高める努力を惜しまないことです。また、その成果を社内外で積極的にアピールしていくことが大事です。SOTA(State of the Art=特定の専門領域における最先端)を越えようと足掻き続け、努力の末に得た結果は、必ず会社の競争力・組織の成果となると信じています。