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Project Introductionプロジェクト紹介

ベンベルグ工場 製造第2課

ベンベルグが紡ぐ、信頼と技術

開発から約90年、世界でオンリーワンの素材である旭化成の「ベンベルグ(キュプラ)」。製造第2課の前原と内嶌は、課長と部下として尊敬と信頼をベースにベンベルグの製造に携わっている。世界に誇る品質を保ち続けながら、さらなる向上心で日々の業務に向き合う二人の姿を追う。

1993年入社 工業化学科卒

前原 隆玄TAKAHIRO MAEHARA

ベンベルグ工場 製造第2課 課長

将来を意識して臨む

ファーマ配属志望だった前原に、いざ言い渡された配属先は当時事業として元気のなかったベンベルグ事業だった。「今後何十年も続いていける事業なのだろうかと、当時は思った。とはいえ入社2、3年後には、自分が将来的にベンベルグ工場全体を把握する技術者になりたいと思うようになっていました」。入社後は製造第1課で原料となる原液開発に従事していたが、将来的なことを見据え、糸の開発をしたいと上司に願い出る。10年ほど経験を積んだ後に、2004年に新たなプロジェクトのメンバーに抜擢される。「連紡糸の生成に使う硫酸の量を減らしてコストダウンを狙いました。そのヒントを得るため、現場に張り付いて探っていましたね」。1年間という限定プロジェクトを経て、技術者として成長を実感した前原は、そのまま技術開発室に異動し、今度は最強のNP(高速連続)紡糸の開発に着手する。
紡糸の生産技術は変わらなくとも、さらに薄く軽い素材が時代の主流。ベンベルグとしては、成し遂げたい開発だった。「糸が細くなればそれだけ目に見える生産能力は下がる。ただ細い糸の市場用途は拡大している。生産量を伸ばして利益を伸ばしていくために挑戦したのが、NP紡糸でした」。前原は、44デシテックス(糸の太さの単位)のNP紡糸の開発に成功。それは長い歴史を誇るベンベルグ事業で、今までできていない領域だった。
その業績を残し、2012年に製造第2課へ異動。係長として80名の部下を抱え、2017年1月には課長に就任。NP紡糸係と連紡糸係、合わせて150名の長として業務にあたる。

先陣を切って、さらなるフィールドへ

150人の部下がいるということは、その分だけの家族がいる。「係長時代の部下がプライベートで大怪我をした時に、家族の方に呼ばれて集中治療室の中まで入った。その時、『部下一人一人には家族がいる。私は部下の安全を第一にして成長をしないといけない』と感じました」。業務中の安全面を考慮することは、課長として最も重要なこと。だから、部下に強い口調で諭すこともある。
「立派な人材を育てる責任がある。部下の成長のためにも、物事を俯瞰して、工場全体で見たときに自分は何ができるかを常に意識しています」
部下の成長が、何よりも達成感へとつながる。そこに、成果が伴うことを願って。「ベンベルグは"高品質"がキーワード。世界に出して恥ずかしくない品質であること、生産性も人材も含めステップアップしていくことで、今後10年20年と発展していけるのでは」。
常に自分のその時の立ち位置で、ベストを尽くしてきた前原。係長時代は、重い責任を担う課長の意識で行動してきた。課長となった現在、モチベーションを上げるために、自分に発破をかけることもある。「自分がベストを尽くすと、部下には当然影響が及ぶ。その影響力の範囲が広がるのは幸せを感じる瞬間。役職にこだわらず、どんどん高い位置にもっていきたい」。
速いスピードでキャリアステップを叶えてきた前原を、指標とする部下たちがいる。内嶌もその一人。「現実のステップは、実はイメージより3年ほど遅いんです。同じ高専卒の部下たちにも、できるだけ視座を高くするよう指導しています。今後は、工場以外の仕事を自分がどれだけできるのか、チャレンジしてみたいですね」。前原は、元工場長の習慣を真似て目標を手帳に書き込んでいる。何歳でどのポジションにいるか。どんな業務を成し遂げるか−。3年先を進んでいる手帳の中の自分を追って、さらにフィールドを広げている。

2011年入社 生物工学科卒

内嶌 孝太KOTA UCHIJIMA

ベンベルグ工場 製造第2課 課付

技術を引き継ぎ、上書きしていく

前原が技術開発室の主査を務めていたときに、新入社員として内嶌は同室の扉を開いた。「普段の生活に関わる食品や繊維の分野で働きたいという希望がありました」。実家にもバスで帰省できる延岡に配属。入社後は、営業から来る新しい依頼に対して、開発を進めるなどの技術開発を担当。中でも入社2カ月後からスタートした、33デシテックスのNP紡糸の開発に特化する。それは、前原が開発した44デシテックスを、さらに上回る細さの糸だった。
「入社当時から33デシテックスの細さが自分の中ではあたり前の状況でした。しかし現場の方の話を聞いたり、数年経って自分の目で他の糸と比較したときに、33というのはすごい技術開発なんだなと実感しました」。前原の技術が基本にあったからこそ開発できた33デシテックスの紡糸技術。内嶌は、この先端技術の製造に必要な紡糸条件を、3つのステップで検討・改善し確立させていった。4年間従事したその業務では、現場の交代業務も経験。条件が安定し見通しがたった頃、「自分の性に合っている」という製造課へ異動となった。
現在は、ベンベルグの生産技術革新として生産コスト削減をテーマに掲げる。「糸を作る時の温水の温度を下げるのが一つの手段。他には、硫酸の濃度を抑えてコストを抑える検討。ベンベルグの製造方法では、生産コストの削減が、イコールCO2削減につながります」。
技術開発室では、新規の開発案件が製造可能かどうか、形にすることを優先して検討するのが主な流れ。しかし、製造課では既存技術の中での製造・開発となる。「まず予算を立ててそこに向けて、いろいろな制約がある中で技術を作り込んでいく。ゴールが決まっている中で取り組むので、以前と意識は全く変わりました」。目の前の開発だけでなく、工程や工場の流れ、作業の効率化、予算まで把握する、つまりは、上司の前原が常に大切にしていた、工場全体を視る意識が内嶌にも宿っている。

追うべき背中が、目の前にある

「『君はいつも現場にいるな。親身になってくれるな』と現場の方から言われるような人になりたい」。内嶌がそう言うのには理由がある。
入社して初の操業試験の時。技術開発室の事務所のデスクで挙がってきたデータとばかり向き合い、現場には足を運ばずに資料を作り、報告会に臨んだ。結果は、散々だった。「現場でのことを質問されたときに、答えることができなかった。あの時に痛感した、その数字に至ったプロセスがより重要なのだという気づきは、ターニングポイントです」。だから内嶌は、常に現場に顔を出す。オペレーターと積極的にコミュニケーションをとり、わからないことは恐れずに聞き、問題点を吸い上げる。現場との距離が近くなればなるほど、作業効率や作業環境が良くなるような技術開発を意識している。
製造第2課に来て2年半。再び前原から直接指導を受ける立場になった。しかも今回は、課長と課付という立場。同じ高専出身で着実にキャリアステップを歩んできた前原は、内嶌からしたら目標の人。「自分の仕事は前原さんがこれまで実際に通ってきたことなので、できないことに言い訳はできないですね。たまにさらりと厳しいことを言われます」。それが、内嶌にはいい刺激となっている。
「今は一緒で嬉しいです。前原さんはもちろん、ほかの先輩方や現場の方たちからも技術や知見などいろいろ盗めることがある。恵まれた環境にいると思います」。
数歩先をゆく背中に追いつく日を描いて、成長を遂げている。